4月10日、『転校生』『時をかける少女』『さびしんぼう』の尾道3部作などで知られる大林宣彦監督が、肺がんのため82歳で亡くなりました。
奇しくも4月10日は、大林監督の最新作『海辺の映画館-キネマの玉手箱』の公開予定日でした。
残念ながら新型コロナウイルスの影響で公開は延期されてしまいましたが、この新作が大林監督の遺作にしてキャリアの集大成的な映画になっているとのことです。
大林監督の映画を観たことが無いという人もいると思うので、この機会に改めて大林監督がどんな監督だったのか、そしてそのあまりにブッ飛びまくった作風について紹介したいと思います。
経歴
1938年、広島県尾道市生まれ。
幼少期、実家の蔵にあった35mmフィルムのおもちゃの映写機で、「のらくろ」などのフィルムを切り貼りしながら映画の編集を自然に覚えたそうです。
映画を観る前から映画を作っていたとは、大林宣彦恐るべし!
大学時代から自主製作映画を撮り始め、その時から高い評価を集めていました。
その後CMディレクターとして活動し、3,000本以上ものテレビCMを制作。
1977年、『HOUSE』で商業映画デビュー。
自身の故郷である尾道を舞台とした、『転校生』『時をかける少女』『さびしんぼう』は尾道3部作と呼ばれ、世代を超えて幅広く親しまれています。
映画のファンが実際に尾道に訪れるなど、いわゆる「聖地巡礼」の走りともなりました。
『異人たちとの夏』『青春デンデケデケデケ』『SADA~戯作・阿部定の生涯』『理由』で数々の映画賞を受賞。
近作、『この空の花-長岡花火物語』『野のなななのか』『花筐/HANAGATAMI』は大林的戦争3部作と呼ばれています。
そして最新作は、その大林的戦争3部作のさらにその先の4作目であり、すべてを合わせた集大成的作品となりました。
観客を圧倒、そして困惑させまくる大林映画
僕自身は大林監督の作品をすべて見ているわけではありませんが、初めて『その日のまえに』を観て、そのあまりのブッ飛び具合に完全にやられてしまい、過去作を遡って観たり新作は欠かさず見るようになりました。
とにかくその作風は前衛的で、観客を圧倒し、そして困惑・混乱させます。
近作は特に、情報量があまりに多すぎて一度ですべてを理解することは不可能な作りになっています。
というか何度見てもすべては理解できないでしょう。
言葉で説明しても、どれぐらい凄い映画なのかは1割も伝わっていないと思うので、とにかく映画を観てブッ飛ばされてみてください!
特に『この空の花-長岡花火物語』以降の作品を観れば、そのとんでもなさを分かって頂けると思います。
良い悪いは別にして、観た全員が「こんな映画観たことない」と衝撃をうけること間違いありません。
大林監督への追悼の意を込めて大林監督の過去作を観て、そして新型コロナウイルスが落ち着き、最新作『海辺の映画館-キネマの玉手箱』が無事公開されたら皆で観に行きましょう。
大林監督、ご冥福をお祈りします。
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