映画『ミッドサマー』観ました!
絶対参加したくない、異国の超気持ち悪い奇祭に擬似的に参加してきましたので、そんな感じの感想をまとめていきます!
『ミッドサマー』の概要
長編デビュー作「ヘレディタリー 継承」が高い評価を集めたアリ・アスター監督の第2作。不慮の事故により家族を失ったダニーは、大学で民俗学を研究する恋人や友人たち5人でスウェーデンを訪れた。彼らの目的は奥地の村で開催される「90年に一度の祝祭」への参加だった。太陽が沈むことがないその村は、美しい花々が咲き誇り、やさしい住人たちが陽気に歌い踊る、楽園としか形容できない幸福な場のように思えた。しかし、そんな幸せな雰囲気に満ちた村に不穏な空気が漂い始め、妄想やトラウマ、不安、そして恐怖により、ダニーの心は次第にかき乱されていく。ダニー役を「ファイティング・ファミリー」のフローレンス・ピューが演じるほか、「トランスフォーマー ロストエイジ」のジャック・レイナー、「パターソン」のウィリアム・ジャクソン・ハーパー、「レヴェナント 蘇えりし者」のウィル・ポールターらが顔をそろえる。
2019年製作/147分/R15+/アメリカ
引用元:映画.com
原題:Midsommar
配給:ファントム・フィルム
監督・脚本:アリ・アスター
出演:フローレンス・ピュー、ジャック・レイナー、ウィリアム・ジャクソン・ハーパー、ウィル・ポールター、ウィルヘルム・ブロングレン、アーチー・マデクウィ、エローラ・トルキア、ビョルン・アンドレセン
予告編はこちら↓
個人的評価:83点
ここから感想文(ネタバレ注意!)
『ミッドサマー』を観た僕の感想をザックリ書いていきますが、この先ネタバレにも触れるので何も情報を入れずに映画を観たいという方は、まず先に映画を観てから読んでください!
アリ・アスターという天才
2018年、長編デビュー作となる『ヘレディタリー/継承』でいきなり批評家たちから絶賛の嵐。
「21世紀最高のホラー映画」とまで評されたヘレディタリー。
まぁとにかくブッ飛びまくった上に超恐い、そして最後は行くとこまで行った結果、突き抜けちゃってなぜか爽快!という、凄まじい映画でした。
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そんなアリ・アスター監督の長編2作目となる『ミッドサマー』。
これまた不穏でキモくて超最高でしたよ!
それにしてもアリ・アスター、まだ34歳。
死ぬまでに後何作、彼の新作を観れるのかって考えるだけで嬉しくなっちゃいますね。
最初からもう厭な感じ
主人公ダニーは、双極性障害の妹を持つ大学生。
自身も抗うつ剤を服用しており、精神的に不安定。
そんなダニーのもとに、妹テリーから「もう耐えられない。パパとママも一緒に行く。さようなら。」とのメールが。
心配になったダニーは実家に電話をするも、夜も遅かったため繋がらず。
不安に駆られたダニーは、恋人クリスチャンに電話するもなんだか面倒くさそうな応対。
恐らく、これまでも何度もこんなことがあったんでしょう。
クリスチャンは友人たちに、ダニーと別れたいと相談しています。
そこに再びダニーから電話が。
電話に出ると泣きわめく、というよりも絶叫に近いダニーの声が。
妹テリーが、車の排気ガスを吸って自殺、そして寝室で寝ている両親も道連れに。
何が厭って、マフラーからホース引っ張って口に直接突っ込んでガス漏れないように口の周りをビニールテープで固定しているそのビジュアル。
目ひん剥いて顔面は灰色。
映画始まって早々、いきなりいや~な気持ちにさせられましたよ。
地獄の釜の蓋が開かれた
家族の死から立ち直れずにいるダニー。
そんなダニーを他所に、クリスチャンはペレ、ジョシュ、マークの男4人で、ペレの故郷スウェーデンへの旅行を計画。
スウェーデン旅行に行くと聞いたダニーは「なんで相談してくれなかったの?!」とまた不安定に。
仕方ないから一緒にスウェーデン旅行に行こうと誘うクリスチャン。
どうせ来ないだろうと思い、形だけ誘ったつもりが、本気にしちゃったダニーは一緒にスウェーデン旅行に行くことに。
最悪。
行きの飛行機の中でもたまらずトイレで泣き出したりしてるダニー。
そんなこんなありながらも一行はスウェーデンに到着。
ペレの故郷ヘルシングランド地方のコミューン・ホルガ村へと車で向かいます。
そして車がヘルシングランドに入るところから、カメラがぐーっと反転して天地が逆さまになる気持ち悪いアングルに。
まさにここからが地獄の始まりですよって感じで、一気に不穏な感じになってきます。
世界が反転、絶対良くないことが起きる予感。
この世の楽園ホルガ村

ホルガ村は、美しすぎるほど美しい景色と白夜で日が落ちず、優しく穏やかな村人たちの歓迎、そして皆でマジックマッシュルームをキメてトリップするという、この世の楽園そのものとしか言いようのない場所。
ダニーたちの他にも、サイモンとコニーというイギリス人カップルも招かれています。
今回一行がホルガ村を訪れたのは、90年に一度開かれる祝祭に参加するため。
そしてこの祝祭こそがまぁ・・・ということです。
初日のセレモニーこそ多幸感にあふれた感じではあるものの、白装束の集団が揃って訳の分からないこと言ってたらそれはもうカルトにしか見えません。
じじーとばばーが一変させる

ホルガ村には、人生のサイクルを季節で考える風習があります。
18歳までの子供は「春」。
18~36歳は巡礼の旅をする「夏」。
36~54歳は労働の「秋」。
54~72歳は人々の師となる「冬」。
そして72歳で役目を終える。
そんな話を聞いた翌日。
2日目の祝祭は、食事の卓にじじーとばばーが2人迎え入れられます。
食事は村人全員で外でとるのですが、まずこの食卓の並びが気色悪い。
そして神妙な面持ちで、じじーとばばーを迎え入れる村人たち。
もう嫌な予感しかしません。
なにか呪文のような言葉を言った後に、グラスに注がれた飲み物を飲み干すと、2人は椅子に座ったまま崖の上に連れていかれるのです。
うん、これはダメ。
崖の下から見守る村人とダニー御一行。
ルビ・ラダーと呼ばれる聖典を読み上げる村長らしき女性。
読み終えるとまずは、ばばーから。
崖から飛び降ります。
崖の下にある岩に激突し即死。
顔面グシャリと潰れてます。
パニックに陥るダニーら一同。
続いてじじー。
ばばーと同じく飛び降りるも、岩から外れたため、両足が折れ曲がるというかほぼ引きちぎれた状態で生き残ってしまいます。
悶え苦しむじじーに、村人たちは一斉に嘆き始めます。
金正日が死んだ時のカメラの前で嘆く北朝鮮人みたいに。
するとハンマーを持った村人が近づき、じじーの顔面を叩き潰します。
あまりの異様な光景を前に、イギリス人カップルのサイモンとコニーは「異常だ!」とその場を立ち去ろうとします。
そんな2人に駆け寄り、村長は「これは大昔からの風習なの。あの2人は生命のサイクルを終えた。彼らにとって大いなる喜びなのよ。」と、全然共感できない説明をするのでした。
死んだ彼らの名前を、これから生まれてくる子供が受け継ぐ。
生命は輪であり、また廻る。
何よりゾッとさせられたのは、飛び降りの儀式から帰る道中、村人がまるで何事もなかったかのようにニヤニヤ笑いながら帰っている姿でした。
奇祭に巻き込まれていく

映画はここからどんどん狂気の世界へ。
まずは飛び降りの儀式に憤慨していたサイモンが消えます。
そしてサイモンを追ったコニーも消えてしまうのです。
クリスチャンとジョシュは、飛び降りの儀式以降、論文のために取り憑かれたようにホルガ村について調べ始めます。
さすがに危険を感じたダニーはクリスチャンに相談するも、クリスチャンはホルガ村の研究にドップリで全く相手にしません。
ドラッグと女が大好きマークは、先祖の木という大事な木に向かって立ち小便をして村人に激怒されます。
その後、村の美女に誘われてどこかへ行ってしまい、マークも姿を消すのでした。
ジョシュは村の長老に、聖典ルビ・ラダーを見せてもらいます。
ルビ・ラダーは常に更新されていくらしく、書いているのはホルガ村に1人の障害者ルビン。
ホルガ村では障害者=賢者であり、代々賢者がルビ・ラダーを書き記してきたとのこと。
ルビンが死んだらどうするんですか?と質問するジョシュに長老は、「賢者(障害者)は、意図的に近親交配で作るんだよ」と、何ともおぞましい話を。
ルビ・ラダーに魅入られたジョシュは夜中に書庫に忍び込み、ルビ・ラダーの写メを取ります。
すると後ろから、姿を消していたマークが。
と思いきや!
マークの顔面の皮膚を被った何者かが。
しかも下半身の皮膚も剥がして履いてます、ちんちん付きで。
ジョシュは頭を殴打されて倒れ、どこかへ運ばれていくのでした。
女王ダニー

そんな中、祝祭はダンス大会へ。
村の女性たちで、ドラッグやって踊り狂って、最後の1人になるまで倒れずに踊り続けたものが優勝。
その年の女王となるのです。
ラリって踊り狂う女たち。
吐いてぶっ倒れる女性が続出する中、気が付くとダニーが最後の一人に。
新女王の誕生を祝福する村人たち。
そんなダニーを見つめるクリスチャンの周りには、もはや誰もいなくなります。
ドラッグを多分に摂取させられ、だんだん訳が分からなくなってくるクリスチャン。
家族として迎え入れられるダニーに対し、孤独感を感じるクリスチャンは、誘われるがままに小屋へと入っていきます。
小屋の中には、食事の中に陰毛を入れるなどの奇行で、やたらとクリスチャンを誘惑し続けた少女が全裸で待ち構えています。
そしてそれを取り囲む全裸の女性の集団が。
小屋の中で、さらに訳の分からないドラッグを吸わされたクリスチャンは、とうとう少女とセックスしてしまうのです。
少女が喘ぎ声を上げると、周りの女性たちも同じように喘ぎ始めます。
喘ぎ声の大合唱。
狂ってます。
その声を聞いたダニーは、小屋を覗き、クリスチャンと少女のセックスを見てしまうのでした。
完全にパニックに陥るダニー。
泣き喚くダニーに寄り添うように、女王の取り巻き達はダニーと同じように声を合わせて泣き喚くのでした。
そして祝祭は大団円へ

少女に中出ししたクリスチャンは、我に返り全裸で逃げ去ります。
逃げた先には、土に埋められたジョシュの足が。
ビビったクリスチャンは近くの小屋に逃げ込みます。
するとそこには、天井に吊るされたサイモンの姿が。
背中をパックリ割かれて、背中から肺を引きずり出されるという、とんでもない状態で。
なんでも「血のワシ」とかいう、実際にあった処刑方法だとか生贄の儀式だとか。
呆然とするクリスチャンに村人たちは、さらにドラッグを吸引させ気絶させます。
クリスチャンが目を覚ますと、最後の祝祭の儀式が。
神への捧げものとして、9人の命を捧げると言います。
マーク、ジョシュ、サイモン、コニー(殺されていた!)がすでに生贄として殺されています。
「ホルガは奪ったら与える」という教え通り、外部の命を4つ奪ったので、村人の中からも同じ人数の4人、命を差し出すと。
すでに崖から飛び降りたじじーとばばー、そして自ら志願したイングマールとウルフの4人が生贄となります。
そして残りの1人を、くじ引きで決めた村人1人かクリスチャンのどちらかを、女王となったダニーが決めることとなります。
そして!ダニーは最後の1人をクリスチャンに決めるのでした・・・。
内臓を取り出した熊の亡骸の中に入れられるクリスチャン。
リアルくまの着ぐるみ。
村の1番奥にある、絶対に入ってはいけないと言われていた黄色い三角形の建物の中に次々と運ばれる死体、そして生きたまま入れられるクリスチャン、イングマール、ウルフ。
準備が整うと火を放たれます。
「痛みは消える」と言われて、あらかじめ薬を舐めさせられていたイングマールとウルフ。
しかし身体に火が付いたとたん、絶叫しだすウルフ。
もう最悪。
ウルフの叫び声を聞いて、外にいた村人たちも一斉に絶叫し始めます。
一緒になって絶叫するダニーでしたが、燃え盛る建物を見るうちに次第に落ち着き始め、最後はダニーの満面の笑みで映画は終了するのでした。
自分を救ってくれなかったクリスチャンとは決別し、ホルガ村の新たな「家族」を手に入れたダニー。
完全に狂気に堕ちてしまったダニー。
しかし、この奇祭こそが、壊れてしまったダニーの心を救ったのです。
救ったのか・・・?
総評
相変わらず狂った名作を提供してくれたアリ・アスター監督。
個人的には、ライムスター宇多丸さんもムービーウォッチメンで言っていた『2000人の狂人』を思い出したりしましたよ。
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ここで書いた感想以外にも、「ホー、ハッ」って吐いて吸うあの呼吸とかそれだけで恐いし、ラストくまの着ぐるみクリスチャンの足の置き方とか妙に可愛かったりとかいろいろ楽しく恐ろしいシーンも多々あります。
調べると、まだまだいろいろな伏線だったりなんだりが、至る所に散りばめられているみたいですね。
そしてヘレディタリー同様、行きつくとこまで行っちゃった結果、めちゃくちゃ悲惨なものを見せられているにも関わらず、謎の爽快感に包まれるラストはやっぱり最高でしたよ!
というわけで、『ミッドサマー』はU-NEXTで絶賛配信中です!
Blu-rayも発売中ですよ!
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その他にも、映画の感想をブログにまとめていますので興味があれば是非!↓
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