現在公開中の話題の新作映画『花束みたいな恋をした』観てきました。
タイトルだけ見て何のためらいもなくパスするつもりだったんだけど、Twitter等々のサブカル味たっぷりな「これは自分の映画だ!」的な感想を見て「これは絶対観なきゃダメなやつだ!」ってことで行きましたよ!
もちろん思いっきり食らってしまったので、その辺の感想を書いていきます。
『花束みたいな恋をした』の概要
「東京ラブストーリー」「最高の離婚」「カルテット」など数々のヒットドラマを手がけてきた坂元裕二のオリジナル脚本を菅田将暉と有村架純の主演で映画化。坂元脚本のドラマ「カルテット」の演出も手がけた、「罪の声」「映画 ビリギャル」の土井裕泰監督のメガホンにより、偶然な出会いからはじまった恋の5年間の行方が描かれる。東京・京王線の明大前駅で終電を逃したことから偶然に出会った大学生の山音麦と八谷絹。好きな音楽や映画がほとんど同じだったことから、恋に落ちた麦と絹は、大学卒業後フリーターをしながら同棲をスタートさせる。日常でどんなことが起こっても、日々の現状維持を目標に2人は就職活動を続けるが……。
2021年製作/124分/G/日本
引用元:映画.com
配給:東京テアトル、リトルモア
監督:土井泰裕
脚本:坂元裕二
出演:菅田将暉、有村架純、清原果耶、細田佳央太、韓英恵、中崎聡、小久保寿人、瀧内公美、森優作、古川琴音、篠原悠伸、八木アリサ、押井守、PORIN、atagi、モリシー、佐藤寛太、岡部たかし、オダギリジョー、戸田恵子、岩松了、小林薫
予告編はこちら↓
個人的評価:98点
ここから感想文(ネタバレ注意!)
『花束みたいな恋をした』を観た僕の感想をザックリ書いていきますが、この先ネタバレにも触れるので何も情報を入れずに映画を観たいという方は、まず先に映画を観てから読んでください!
恥ずかしながら白状しますと
『花束みたいな恋をした』を語る上でまず何よりも先に触れておかないといけないのは、あの坂元裕二のオリジナル脚本ということ。
らしいです。
正直に申しますと、恥ずかしながら私、坂元裕二と聞いても全くピンときませんでした。
ほぼ、というかまったくの初耳です。
「東京ラブストーリー」「最高の離婚」「カルテット」などなど、数々の傑作ドラマの脚本を手掛けた人なんだそうですが・・・
東京ラブストーリーは子供の頃テレビで観たけど、誰もが知ってる有名なシーン以外は記憶にないし、カルテットは話題になってたけど全く観てないし、その外についてはタイトルすら聞いたこと無いという。
本当にお恥ずかしい。
まさしく僕は、終電逃して麦君と絹ちゃんと一緒にカフェに行った出版系のサラリーマンと同類であることが判明いたしました。
「映画観るよ~。結構マニアックって言われるんだよねぇ。ショーシャンクの空にとか」
あぁ恥ずかしい。
できることなら麦君、絹ちゃん側の人間でありたかった。
(ちなみにパトレイバー死ぬほど好きなのに、押井守の風貌を知らなかったことだけは本当に秘密にしておきたい。)
映画観終わって、パンフレット読んだり、宇多丸さんの映画評を聞いて初めて『花束みたいな恋をした』が「脚本家・坂本裕二の作品」なんだと知りました。
そんなこともつゆ知らず、毎度のごとく監督の過去作だけを漁って予習する僕なのでした。
でも土井監督の過去作を遡って観たことが不毛だったのかと言ったら全然そんなことなくて。
完全に舐めてて無視してた『映画 ビリギャル』という人生ベスト級に好きになってしまった映画に出会えたので予習も無駄にはならなかったという話でした。
サブカル憧れ
とにかく自分のことを語りたくなる映画であることは間違いなく、御多分に漏れず僕も自分語りしますけども。
10代20代の頃の僕は、麦君みたいなサブカル青年でした。
と言いたいのですが、30代になってようやく気付いたんだけど、僕はサブカル青年ではなくて「サブカル青年になりたい青年」だったような気がします。
サブカル文化そのものが好きというより、サブカル知識人たちに対する憧れが異常に強かったと言ったほうが正しい気がします。
先ほど名前を挙げた宇多丸さん、そして吉田豪さん、水道橋博士、町山智浩さん、映画秘宝などに強く影響を受け、それらサブカル知識人についての知識は結構付けたと思うのだけど、肝心のサブカルそのものに関する知識はそれほどでもないという。
宇多丸さんとかがラジオで話したことを、あたかも自分の話のように友人に話す(いまでもたまにしてますけど)というクソみたいな「エセサブカル青年」だったんですね。
稀に本当にサブカルに詳しい人に出くわすと完全に口ごもるということも。
そんなエセサブカル中年である僕には、この映画はキツくてハズくてしょっぱくて苦しくて、でも最高に愛おしくて、とても忘れがたい一本になりましたよ!
奇跡のようなカップル
とにかく2人が愛おしすぎる!
麦君のサブカルこじらせた感じが、とにかく身に覚えがあり過ぎてイタくてハズくて何度もスクリーンから目を逸らしてしまいました。
「好きな言葉は『バールのようなもの』です。」って、似たようなことコンパの自己紹介で言った気がするなぁと思い返して恥じ死にしそうになったり、
「家賃5万(うろ覚え)のアパートに3億2000万の分譲マンションのチラシ。今年一番笑った。」って、なんでもかんでもシニカルぶって斜めから物事見てます的なのとかも、本当に自分を客観的に見せられてるようでまともにスクリーン観れませんよ!
で、そんな麦君と「ここまで合うか!!」ってぐらい趣味が合う絹ちゃんが出会うという奇跡。
とにかく幸福すぎる日々が続く前半。
漫画一緒に泣きながら読むって、あれ最高過ぎるでしょ。
死ぬほどうらやましいと思う反面、僕自身はこういう彼女が欲しいと思ったことは一度も無いんです。
なぜなら自分の知識の浅さがバレるのが怖いから。
なんともちっぽけで浅ましい男なんです。
社会の一員になるということ
麦君が就職したとこから、本作のどぎつい展開が始まります。
仕事に忙殺されてカルチャー摂取どころじゃなくなってくる麦君。
好きなことを仕事にして、楽しく生きたい絹ちゃん。
あんなに奇跡のようなカップルだった2人が、徐々にズレてきちゃうんです。
また自分語りになりますが。
就職して完全にサブカルからは離れてしまったんですが、20代後半に転職、そして30代に会社を辞め「好きなことしかもうやらない」とか舐め腐ったこと言って再びサブカル沼に戻ってきた身としては、どちらの気持ちも分かり過ぎて本当に辛い。
学生時代はあんなに突飛で面白かったのに、今や立派なサラリーマンになってまさに麦君みたいなド正論しか言わないおじさんになった友達も多々。
自分はそんなサラリーマンにはなり切れずに嫌になって逃げだした身なので、そんな友達たちを尊敬する一方、「もうあの頃みたいな感じには戻れないのかぁ」とめちゃくちゃ寂しくも思うのです。
麦君が前田裕二の本読みだしたときは「あちゃー、それは無いわぁ」とか思いつつ、「でも俺もそうだった」という、サブカル側の正論すら言えない自分の立場に心がかき乱されそうになりましたよ。
地獄のファミレスからの
ファミレスでの別れのシーン。
こんなに心を締め付けられることがあるか。
あの頃あんなに輝いてたのに。
こんなところで妥協して、何が幸せなんだ。
全部真正面から見せつけられるという地獄。
パンフレットにも書かれていたけど、有村架純と菅田将暉が完全にくすんで見える。
でもこの映画が本当に凄いのはこの後で。
あんな地獄を見せられたのに、最後はめちゃくちゃポップで爽やかに終わっていくんです。
今回は上手く行かなかったけど、でも確かにあの頃は最高に輝いてたし最高に幸せだった。
それでいいじゃん。
そうやって折り合い付けてみんな大人になっていくんでしょうよ。
それって全然悪いことじゃないし、そんな人生だって最高に輝いてるし最高に幸せなんだから。
エンドロールを見ながら様々な感情が渦巻いて、結局僕も自分語りしてしまいましたよ。
ちなみにブログ書いてる身としては、触れられてなかったけど絹ちゃんずっとラーメンブログ書き続けてくれてたらいいなって思いました。
総評
こんなの好きになるに決まってる!
菅田将暉と有村架純の凄まじさも見せつけられましたよ。
冷静に感想を書くなんて到底不可能な「この映画は俺の映画だ!」な映画でした。
この他にも映画の感想を書いていますので、興味があればぜひ!↓
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