吉岡里帆主演の映画『見えない目撃者』を観ました。
やたらと良い評判を聞くので観てみたら、噂にたがわぬエグいゴア描写満載の傑作サスペンス映画でした!
映画館で予告編は何度も目にしていたのですが、吉岡里帆主演ってだけで「はいはい、大衆迎合型の売れ線映画ね」と完全にスルーしていたのですが・・・
吉岡里帆様、並びに関係者の皆々様、舐めてて申し訳ありませんでした!!!!!!
映画の概要
2011年の韓国映画「ブラインド」を日本でリメイクし、吉岡里帆が視力を失った元警察官役を演じるサスペンススリラー。警察学校の卒業式の夜、自らの過失で弟を事故死させてしまった浜中なつめ。自身も失明し警察官の道を諦めた彼女は、事故から3年経った現在も弟の死を乗り越えられずにいた。そんなある日、車の接触事故に遭遇したなつめは、車中から助けを求める少女の声が聞こえてくることに気づき、誘拐事件の可能性を訴える。視覚以外の感覚から感じ取った“目撃”情報を警察に提示するなつめだったが、警察は目の見えない彼女を目撃者と認めず捜査を打ち切ってしまう。なつめは少女を救うべく奔走し、事故現場で車に接触したスケボー少年を探し出す。やがて女子高生失踪が関連づけられ、連続誘拐事件の存在が判明。なつめは事件の闇へと切り込んでいくうちに、弟の死とも向き合うことになる。監督は「重力ピエロ」「リトル・フォレスト」の森淳一。
2019年製作/128分/R15+/日本
引用:映画.com
配給:東映
監督:森淳一
脚本:藤井清美、森淳一
出演:吉岡里帆、高杉真宙、大倉孝二、浅香航大、酒向芳、松大航也、國村隼、渡辺大知、柳俊太郎、松田美由紀、田口トモロヲ
予告編はこちら↓
個人的評価:73点
ザックリ感想(ネタバレ注意!)
『見えない目撃者』を観た僕の感想をザックリ書いていきますが、この先ネタバレにも触れるので何も情報を入れずに映画を観たいという方は、まず先に映画を観てから読んでください!
斬新な「見えない表現」
元は2011年に公開された韓国映画『ブラインド』のリメイクです。
僕は『ブラインド』を観ていないので、オリジナルとの比較はできませんのであしからず。
本作『見えない目撃者』は、主人公・浜中なつめ(吉岡里帆)が事故で失明しているのですが、その「見えない表現」が斬新なんです。
主人公の視点になると、始めは画面が真っ白なのですが、音や触覚、記憶などで空間を把握すると次第に映像が浮かび上がってきます。
僕はこれまでこんな表現観たことなかったので、「こんな表現の仕方があるんだぁ!」と嬉しくなっちゃいました。
そして、舐めててごめんなさいの吉岡里帆の「見えない演技」凄くないですか?
本当に目の見えない人にしか見えなかった!
以前、キムタクがラジオで『武士の一分』について話しているときに、「見えてるのに見えない演技をするのは本当に難しい」的なことを言っていたので、これ本当に凄いと思いました。
だってキムタクが言ってんだから!
信じてもらえない恐怖
なつめは、失明したうえに、事故で弟を亡くしたのを自分のせいだと考えふさぎ込んでいます。
それが原因で、鬱病になり自殺未遂までしており、現在は精神科に通院中。
そのため、車の中から少女の「助けて!」という声を聞いたと言っても、「聞き間違えでは?」「幻聴では?」「妄想では?」と相手にしてもらえません。
自分の病気のせいで信用してもらえない恐怖と、それを信用させるときの痛快さもまた良かったです。
本作の価値を高めた手加減なしのゴア描写
何より凄かったのは、真正面から手加減なしでゴア描写をしたところでしょう。
犯人は「六根清浄」という儀式にインスパイアを受け、未成年の目、耳、鼻、口、触覚(手)、意識(脳)を切り取っていきます。
聞くだけでも禍々しいこの殺人を、被害少女の死体から切断シーンまで容赦なくどアップで映し出されます。
グロいのが苦手な人は、嫌悪感と不快感しかないと思いますが、作品のテイストを損なわないように逃げずに撮り切ったのは凄い!
残虐描写を撮りたいがための悪趣味なものとも一線を画しているので(それはそれで好きですけど)、バランスもまたいい。
大倉孝二が脳天からザックリいかれるシーンとか、思い出すだけで痛い!!
これのどこが「大衆迎合型の売れ線映画」なんだ!
改めまして、舐めててすみませんでした!!!!!
田口トモロヲのウザ絡みが最高!

田口トモロヲがめちゃくちゃ良かったです。
定年間際の老刑事。
失明&精神疾患の主人公に、常に真摯に向き合って対応してくれる人です。
中でも名シーンは、書類探しを手伝ってくれた若い警察官(後のアレ)と昼飯を一緒に食べるシーンでのウザ絡み。
何か良いことでもあったのか、普段言わない冗談を言って滑りまくってるのに気づかず空回りし続ける感じ。
こんなオッサン見たことある!と思いつつ、どこか気恥ずかしくもなる最高の名シーンでした。
ご存じの人も多いと思いますが、昔はステージ上でゲロ吐いたり脱糞してた人ですからね。
こんなに良い演技する人になるなんて、人生どう転ぶかわからないものだなぁと思いつつ。
参考までに若かりし日のパンク時代の田口トモロヲをどうぞ↓
そこにいるだけで怖すぎる國村隼
過去の事件について調べるために、当時事件を担当していた引退した刑事に話を聞きにいきます。
その元刑事が國村隼。
超絶オカルト韓国映画『哭声/コクソン』を観てしまった今の僕は、もう國村隼がそこにいるだけで怖くて仕方ありません。
どっからどう見てもこいつが真犯人だろ!
妙なタイミングでお茶を勧められるところとか、「絶対そのお茶クスリ混ぜられてるよ!」とドキドキしながら観ていました。
結局、別に犯人でもなんでもなかったんだけど、明らかにそう見えるように演出されてますよね?
妙な間だったり、喋り方とか照明の加減とか。
このシーンだけ全てがホラーでしかない!
國村隼が、ふんどし一丁で山の中を駆け回る姿が拝める韓国映画『哭声/コクソン』も超怖くて面白いのでオススメです!
どうしても嫌だった、隙を与え続ける犯人
めちゃくちゃ面白い映画だったんだけど、ひとつだけどうしても嫌だったのは、猟奇殺人を繰り返すサイコパスなはずの犯人が主人公がらみのシーンでは必ず隙を与え続けていることです。
ちょっと走れば捕まえれるところを、なぜか歩いて追いかけて逃げられたり。
刃物を振り上げて絶体絶命!のところで、必ず邪魔が入り動きが止まったり。
何のためらいもなく人を刺してたはずなのに、主人公がらみのシーンでは刃物持ってるのになぜか蹴りで攻撃したり。
ちゃんと死なないように待ってくれているのです。
あんなに恐ろしい死体損壊を見せられたのに、犯人自体はあんまり怖く見えなくなっちゃってるんです。
そもそも、スーツ姿に帽子とマスクって、誰が見ても不審者過ぎるだろ!
映画『ノーカントリー』のシガーみたいな、出会った瞬間「死確定」みたいな超やばい殺人鬼を知っていると、どうしても生ぬるく感じてしまったので残念でした。
風貌からして怖すぎるシガー。出会ってしまったら死を受け入れましょう↓

総評
と、そんな小言も書いてしまいましたが、それでもやっぱり超面白かったです!
観てもいないのに勝手に「つまらない映画」と決めつけるのは本当に良くないと、深く反省しております。
「どうせ日本映画だから」とか「この監督だから」とか「こいつが主演だから」とか、そんなつまらない理由で観てこなかった良作がこの他にもきっとたくさんあるのでしょう。
この経験を胸に、明日からも「自分が観たい映画」だけを観ていくことをここに誓います。
映画『見えない目撃者』はU-NEXTで配信されてますよ!
その他にも映画の感想を書いているので、興味があれば是非!↓
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